こたです。
地方移住で農業でもやりながらまったり◯◯する。という話をメディアやSNSでよく耳にするようになりました。
そこで、就農して4年目の私が体験した、農業という職種の厳しさについて説明していきます。
農業を甘く見過ぎ問題
「とりあえず植えて水上げとけば勝手に育つんでしょ?」という考えの人が、ネットが普及したこの時代でも私の周りには非常に多いです。
ですがそんなことはもちろんありません。生育期によって手入れや、水の量の調整も行わなければなりませんし、野菜作りは常に害虫や、発症すると厄介な病気との戦いです。
スーパーで当たり前のように並んでいる長さが均一でツヤのある高品質な商品を作るためには、かなりの手間がかかっています。
それを何本も何kgも安定して生産できなければ、私たち農家は一般的な会社員の方々同様の収入を得ることができません。
※ここからは露地栽培ということを念頭に置いて解説していきます。
(素人が突然ハウス栽培を行うことは、初期費用やノウハウ面から見て現実的に不可能なため)
自然の恐ろしさ
どんなにいいものができても、収穫量が安定して増えてきても台風や突然の大雨、雹、突風、急激な寒暖差、霜などの要因で一気に商品の質や収穫量が低下します。
野菜は外的なストレスにとことん弱いです。収穫自体はできても、商品の質が低ければ大した金額にはなりません。
品種などにもよりますが、ストレスを受けた野菜は復活しても1週間以上の期間を要します。
1ケースあたり1000円で売れていたものが500円、300円などと一気に収入ダウンです。
1ケースならまだしも、30ケース、50ケースとなると100円のダウンで相当な打撃を受けることになります。(台風後に「樹が残っていれば」の話ですが・・・)
資金面での参入障壁の高さ
農業を始めるためには莫大な初期費用がかかります。
細かくあげるとキリがないので、最低限の道具を羅列します。
【機械】
- トラクター
- 管理機
【施設】
- 農業倉庫
【備品】
- コンテナ
- ハウスカー
- くわ
本当に最低限ですが、中古で揃えたとしても数百万円はくだらないはずです。
「いやいや、トラクターとか農業倉庫とかそこまでガチには考えていない」と思われるかもしれませんが、雨が降って固まった畑をくわで耕すという行為は自殺に等しい行為です。そもそもひたすらに土は固いですし、凄まじく時間がかかるため耕すだけで数日以上はくだらないでしょう。
収穫した商品は選別して箱詰めが必要です。家の中に10個以上のコンテナをを搬入し、作業するスペースはなかなか確保できません。(コンテナはいつもピカピカではないです)
決まった休みはない
フリーランスの方々と共通したものがありますが、基本的に立ち止まったら収入無しです。野菜の成長は想像しているよりも早く、ほとんど毎日手入れをする必要があります。
また、植え替えの時期が近づいてくれば収穫、手入れをしながら次の苗を植える準備も発生します。(古い株の片付け→トラクターですきこみ→土壌の殺菌消毒→肥料まき→すきこみ→畝上げ→植え付け)
人間は休んでも、野菜は休んでくれません。
俗にいう3K職
- きつい
- 危険
- 汚い
一般的には敬遠される職の3要素が詰まっています。基本的には外で仕事をしますので、夏は熱中症と戦い、冬は手が悴んでの体力仕事です。もちろん雨が降っても収穫はしますので、泥はねなどによって服や体も汚れます。
トラクターなどの大型の機械を使って仕事をするならば、当然危険も伴います。(毎年大怪我や、死亡事故が発生しています)
農林水産省の農作業事故統計はこちら
ですので、1つの野菜を作り上げるために壮絶なストーリーがあります。「泥臭く」という言葉がよく似合う職業です。
野菜安の恐怖
農業従事者は常に野菜安の不安が付き纏います。頑張って手入れしても値段が高いとは限りません。全国的な需要が低下するとそれに伴って値段がガクンと落ちます。(1ケースあたり1000円→500円に突然ダウンなんていうのはザラです)
時給が半減したとしても、モチベーションを維持して手入れできるかどうかが安定への分かれ目です。
野菜安のリスク回避のために私はちょっとした副業もしています。
副業に関する記事はこちら
まとめ
野菜は正直です。手を抜いただけ自分に返ってきます。
今回は地方移住でなんとなく農業を始めてみようという方へ警鐘を鳴らす意味をこめて記事にしました。
否定的な内容ばかりになりましたが、食べてくださる方がいらっしゃるので日々やりがいを持って仕事ができます。近所の人に配った時に「おいしかった」と生の声を聞けるとすごく嬉しいですよ。
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